【食育専門家・浜田峰子の魚で元気な未来!】(7)魚食で健康寿命を延ばそう

産経新聞おさかなジャパンプロジェクト高齢者を対象とした食育の取り組み
高齢者を対象とした食育の取り組み

 皆さんは「健康寿命」という言葉を知っていますか? 医療や介護に依存せずに自立して日常生活を送れる期間のことです。日本は世界でも長寿国として知られています。その理由としてバランスのとれた魚中心の和食の効果があげられます。しかし、平均寿命と健康寿命の差は男性で約9年、女性で約13年もあります。超高齢化が進む日本では、誰もが最後まで健康で生き生きと生活を送れるように、この健康寿命を延ばすことが大切です。
 私は一生涯にわたって食育が必要だという「生涯食育」の考えに基づき子供から高齢者まで幅広い年代の人を対象に食育活動をしています。その中で、特に高齢者が積極的に食べているものと、体に必要な食べ物の間に大きなギャップがあることに驚きました。
 東京都の高齢者の食生活に関する調査によると、「食事で気をつけていることは?」という問いに、約70%が「野菜をしっかり食べている」と回答しています。ところが、高齢者の多くは主にタンパク質が不足しているという調査結果が出ています。これでは、骨や筋肉が弱って身体機能が低下する「タンパク質・エネルギー低栄養(Protein Energy Malnutrition=PEM)」という状態に陥る恐れがあります。
 魚は私たちが生きていく上で必要な9種類の必須アミノ酸をバランス良く含む良質なタンパク源で、歯が悪くなったり、のみ込む力が弱ったりした高齢者にも食べやすい食材です。赤身や白身の魚など多様な種類を食生活に取り入れることで高齢者に不足しがちなビタミンDや鉄分をバランスよく摂取でき、骨粗鬆(こつそしょう)症や貧血の予防にもつながります。日本ではビタミンD摂取の91%が魚に由来するという調査研究からも、魚食の大切さが分かります。
 以前、聖路加国際病院名誉院長の日野原重明先生が講演で、週5日は魚を食べていると話されていました。105歳まで生涯現役を貫いたお姿は、健康寿命のお手本といえます。生き生きと充実した人生を送るためにも積極的に日々の食生活に魚を取り入れていきましょう。
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【プロフィル】浜田峰子
 はまだ・みねこ 食育専門家。「美味しく楽しく 笑顔は食卓から」をコンセプトに、食の専門知識を生かし水産庁の各種委員や調理師専門学校講師を務めるほか、本の執筆やTVコメンテーターとして各メディアで活動。食育セミナーや食を通じた地域活性化にも精力的に取り組んでいる。著書に「浜田峰子のらくらく料理塾」など。