魚の国 宝の国 SAKANA & JAPAN PROJECT

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食育専門家・浜田峰子の魚で元気な未来!

2018年9月14日
Column #019

シラスに交じった海の恵み

シラスは、頭から尻尾まで全部食べられて、低カロリーで栄養豊富な食品として私たちの食卓にもなじみ深いものですが、最近では少々値段が高いという声も耳にします。

シラスは太平洋沿岸で多く漁獲され、関東では、鎌倉や江の島など湘南地方のシラスが有名です。ただ、一年中獲(と)れるというわけではなく、湘南地方のシラスの旬は、年に3回とされています。4~5月は黒潮に乗ってくる「春しらす」、7月は相模湾特有の「夏しらす」、10月は沿岸で生まれ育つ「秋しらす」です。また、この地方では、毎年1月から3月までは乱獲を防ぎ資源を守るために禁漁期間が設けられています。

一言でシラスといっても、時期や地域によって、魚の種類が違います。シラスは魚の名前ではなく、体に色素がなく白い(半透明の)稚魚の総称です。時期や地域によって、イカナゴ、ウナギ、カタクチイワシ、マイワシ、ウルメイワシ、アユ、ニシンなどさまざまな種類があり、それぞれに旬の味を楽しむことができます。

シラスは船びき網漁という漁法で獲ります。全長約150メートルほどの袋状の網を船が引っ張ります。そのため、網にはタコやイカ、エビ、カニの幼生なども交じります。同じ海の生物なので問題なく食べられるのですが、最近では少しでもシラス以外の生物があると、「異物混入」でクレームが入るため、出荷までに何度も選別にかけるそうです。

まずは特殊な機械でえり分け、その後は人による目視で最終確認を行います。目視作業では、ピンセットや小型の吸引機器を使って取り除いていきます。当然、手間をかけるほど経費がかかり、価格の上昇につながります。

私が子供のころは、シラスのパックにカニやエビが交ざっていると、宝くじにでも当たったかのように喜んでいました。シラスは海の恵みの集合体とおおらかにとらえれば、お手ごろ価格のシラスが食卓に並び続けるかもしれません。皆さんも、シラスの中に海の生物を見つけたら、その小さな海の世界を楽しんではいかがでしょうか。

低カロリーで栄養豊富なシラス

浜田 峰子
はまだ・みねこ

食育専門家。「美味しく楽しく 笑顔は食卓から」をコンセプトに、食の専門知識を生かし水産庁の各種委員や調理師専門学校講師を務めるほか、本の執筆やTVコメンテーターとして各メディアで活動。食育セミナーや食を通じた地域活性化にも精力的に取り組んでいる。著書に「浜田峰子のらくらく料理塾」など。

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