魚の国 宝の国 SAKANA & JAPAN PROJECT

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食育専門家・浜田峰子の魚で元気な未来!

2018年2月2日
Column #011

イワシを食べて体に福を

2月3日は節分です。節分とは「季節」の「分かれ目」のことで、もともとは立春、立夏、立秋、立冬の前日を指し、1年に4回ありました。最近は、2月3日(年によって違う)だけが残り、その日までが冬で、2月4日(同)の「立春」から春になります。節分といえば「豆まき」「恵方巻」が最近のトレンドですが、古来日本では鰯(いわし)を食べる「節分鰯」の風習があります。

焼いた鰯の頭を柊(ひいらぎ)の枝に刺し、玄関に飾って魔除(まよ)けにする風習がよく知られていますが、柊の鋭い葉で鬼の目を突き刺し、鰯の頭を焼き焦がし匂いと煙で「鬼」を遠ざけるためだったといわれています。この節分の風習から「鰯の頭も信心から」という諺(ことわざ)が生まれました。頭だけでなく、身を美味(おい)しく調理して食べることで、体の中から鬼を追い出し福を呼び込み災いを払うともいわれています。「豆まき」は、悪いものを鬼に見立てて追い払い、「魔(ま)を滅(め)する」という意味が由来だそうです。

コンビニなどでよく見かけるようになった「恵方巻」は、関西の一部地域で昔からあった「丸かぶり寿司(すし)」を一本丸ごと無言で食べるという風習が全国に広がったものだといわれています。恵方とは、その年の金運や幸せを司(つかさど)る神様がいらっしゃるとされる方角のことで、毎年違います。昔は、初詣のほか、初めて何かに取り組むときなど何事もその年の恵方に向かって行うことが良いとされていました。

恵方は、今のように恵方巻を食べるときだけでなく、昔の日本人の生活にはずっと身近なものでした。昔は、医学が発達しておらず、病気やけがで命を落とす人が多くいました。天災も予知できず、多くの人が困難にぶつかりました。そうした目に見えないものをなんとか払って家族みんなの健康を祈り、また新しい季節を平穏に過ごしたいという思いが、日本全国にみられるさまざまな節分の風習の根底にあります。

ちなみに今年の恵方は南南東だそうです。今年はぜひとも、家族の健康を祈って節分ならではの風習を楽しみ、鰯料理を食べて体の中にも福を呼び込んでください。

今年の節分にはイワシを食べたい

浜田 峰子
はまだ・みねこ

食育専門家。「美味しく楽しく 笑顔は食卓から」をコンセプトに、食の専門知識を生かし水産庁の各種委員や調理師専門学校講師を務めるほか、本の執筆やTVコメンテーターとして各メディアで活動。食育セミナーや食を通じた地域活性化にも精力的に取り組んでいる。著書に「浜田峰子のらくらく料理塾」など。

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