魚の国 宝の国 SAKANA & JAPAN PROJECT

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食育専門家・浜田峰子の魚で元気な未来!

2018年6月22日
Column #016

身近でおいしい
ナマズに感謝

スーパーの店頭で見かける白身魚の切り身やフィレには、食用の鯰(なまず)が使われていることがよくあります。鯰は、実は私たちの生活に身近な魚です。淡泊な味で適度に脂がのっていて、骨と皮が取られたものやフライ用の衣が付いた商品が販売されていて毎日の食事に使いやすいように加工されています。

最近では、ある大学の研究で「鰻(うなぎ)味の鯰」が開発されました。鰻の味に近付けた鯰なのですが、鰻の天然種が絶滅の危機にあることから、その代用として開発したということです。

鰻の代替魚としてかば焼きに加工され、安くておいしいと人気のようです。鯰は刺し身でよし、焼いてよし、揚げてよし。日本の各地域で愛されてきた郷土料理があります。鯰を食べる歴史は古く、平安時代末期の今昔物語にも調理をした記述が残っています。

江戸時代には、大地震が起こるのは地下にいる大きな鯰が暴れるからだという俗説が民衆の間に広まっていました。科学的に地震を知ることができなかった昔の人は、大きな揺れを何かえたいの知れないものととらえ、大きな鯰に例えたのです。

鯰絵といわれる風刺画には、大鯰を懲らしめる庶民の姿を描いたものや、大鯰と勇敢に戦う人々の姿、大鯰を封じ込めるヒーローの図柄が多く描かれました。大きな鯰に小さな人間が勇敢に立ち向かう姿は、災害に屈せず復興をするという人々の意気込みの表れでした。

日本は美しい海と山、豊かな自然に囲まれた国です。ゆえに太古の昔から人々は自然災害に多く見舞われながらも見事に復興を遂げてきました。身近な鯰を通して、豊かな自然に感謝しつつ、いつ何時も災害への備えを忘れずにいたいものです。

鯰のフライ。実はスーパーで売られている切り身やフィレによく使われている身近な魚だ

浜田 峰子
はまだ・みねこ

食育専門家。「美味しく楽しく 笑顔は食卓から」をコンセプトに、食の専門知識を生かし水産庁の各種委員や調理師専門学校講師を務めるほか、本の執筆やTVコメンテーターとして各メディアで活動。食育セミナーや食を通じた地域活性化にも精力的に取り組んでいる。著書に「浜田峰子のらくらく料理塾」など。

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