魚の国 宝の国 SAKANA & JAPAN PROJECT

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食育専門家・浜田峰子の魚で元気な未来!

2018年12月7日
Column #022

成長に10年、
ズワイガニに感謝

ズワイガニのおいしい季節になりました。主に日本海側で旬を迎えているズワイガニは、毎年11月6日に漁が解禁になり、メスは翌年の1月10日まで、オスは3月までしか獲(と)ることができません(海域、自主規制で違いあり)。地域や水揚げ港、オス、メスの違いによって、さまざまな呼び名がある面白いカニです。

「松葉ガニ」は島根県、鳥取県、兵庫県、京都府で獲れたズワイガニのオスの総称です。「松葉」という名前は、カニの足を折ったときに突き出た2本の拳筋(きょきん)の開きが、松葉の形に似ていることが語源です。

山形県庄内では、オスを「芳(よし)ガニ」、メスを「クボガニ」、石川県では、オスを「加能(かのう)ガニ」、メスを「香箱(こうばこ)ガニ」、福井県ではオスを「越前ガニ」、メスを「せいこガニ」、京都府丹後町の間人(たいざ)漁港では、オスを「間人ガニ」、メスを「こっぺガニ」と呼んでいます。

獲れたての生きのよい状態で競りにかけるため、船の上で港に到着するまでの間に選別をします。サイズが大きく、身がたっぷりと詰まったカニに成長するためには、何度も脱皮を繰り返し、なんと海の中で10年もの年月がかかります。ズワイガニのオスはメスの2倍の大きさですが、10回目の脱皮までは大きさの違いはありません。11回目の脱皮で、一気に2倍近い大きさになります。

食べるのは一瞬ですが、私たちが今年おいしくいただくズワイガニは10年前に生を受けたものです。10年前皆さんは何をしていましたか?

10年後もおいしいカニを味わえるよう資源を守っていくため禁漁期間が設けられているのです。長い年月に思いをはせながら、10年の成長の証し、日本の海の恵みであるズワイガニ料理をおいしくありがたく食べましょう。

地域やオス、メスでいろいろな呼び名があるズワイガニ

浜田 峰子
はまだ・みねこ

食育専門家。「美味しく楽しく 笑顔は食卓から」をコンセプトに、食の専門知識を生かし水産庁の各種委員や調理師専門学校講師を務めるほか、本の執筆やTVコメンテーターとして各メディアで活動。食育セミナーや食を通じた地域活性化にも精力的に取り組んでいる。著書に「浜田峰子のらくらく料理塾」など。

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