母の日に作ろうと思っているトマトソースパスタ
父親たちに「母の日に料理を作ろう!」作戦を企画し、インターネット上で発信し続けて今年は11回目になる。父親支援のNPO法人「ファザーリング・ジャパン」や、私が会長を務める「日本パパ料理協会」に参加するパパたちを中心に、母の日に作った手料理をSNS上に投稿しようという取り組みだ。
日頃、料理をしないパパたちに料理をしてもらうためでもある。人は今までやったことがないことを習慣化するには、きっかけが必要だから。人生100歳時代を迎え、令和の世では社会全体、家族みんなで支え合って生きていかなければならない。食卓に座るだけで食事が出てくる時代ではない。
母の日作戦をしていると、パパたちからこんな声を聞く。「妻に言われました。私はあなたのお母さんではない」と。その通りだ。母の日は母親に感謝する日。だから、まずは自分や妻の母に感謝の気持ちを伝えることを忘れてはいけない。そして、子供が生まれたことで母親になった妻に感謝をすればいい。
その時は、子供と一緒にキッチンに立って合作料理を作ろう。昨年から、母の日に作る料理のお題は「妻が好き料理」とした。聞いて作るか、聞かなくても知っているか。食べた妻から「おいしい!」と言ってもらうのもいいが、笑顔で「食べたかった味!」と言われる料理を目指したい。「おいしい」の先に、食べたかった味がある。
今年の母の日は、5月12日。7年前に天国に旅立った長女の誕生日であり、妻が母になった日だ。この日は、次女とトマトソースパスタを作ろうと思う。きっと、おいしいよりもうれしいセリフが、妻と空から聞こえてくるに違いない。
パパ料理研究家。昭和45年生まれ、京都府出身。立命館大卒。平成21年、ビストロパパ代表。26年、日本パパ料理協会設立、会長飯士就任。28年、農林水産省食育推進会議専門委員。SAKANA&JAPAN PROJECT(推進協議会・産経新聞社など)の一環で、父親を魚食推進の担い手に任命する「パパさかな大使」の代表を務める。