魚の国 宝の国 SAKANA & JAPAN PROJECT

SAKANA & JAPAN PROJECT
Facebook Twitter Instagram

滝村雅晴のパパ料理のススメ!

2020年10月15日
Column #031

出張先の味を家族に届けよう

道後温泉で食べた「宇和島鯛めし」。味を覚えて家でつくる

先日、「男性の家事育児参画」をテーマにした講演で、松山市を訪れた。久しぶりの出張だ。新型コロナウイルスの影響で在宅が増えた今、家族みんなが家事に取り組むいい機会。父親の料理が習慣化するチャンスととらえよう。家事は押し付け合うのではなく、相手の自由な時間を作るためにする。自分が自由に好きなことができるのは、家族の誰かのおかげだ。

講演終了後、フライトまでの時間、道後温泉に。修学旅行の学生の姿もちらほら。今回は平成29年にグランドオープンした別館飛鳥乃湯泉(あすかのゆ)に行った。飛鳥時代の建築様式を取り入れた湯屋がコンセプト。きれいで明るい。全館が愛媛県の伝統工芸とアートで演出されている。風呂につかっていると、午後5時に音楽とともに大浴場にある砥部焼の陶板壁画に映像が投影されプロジェクションマッピングが始まった。春夏秋冬の静かなさりげない映像に心が癒やされた。

風呂上がりの楽しみは、「鯛(たい)めし」だ。土鍋で鯛と米を炊いたものではなく、農林水産省選定の「農山漁村の郷土料理百選」に選ばれた愛媛県の郷土料理「宇和島鯛めし」だ。宇和島で取れた新鮮な真鯛の刺し身と海藻をだし汁、しょうゆ、酒、卵黄などで作ったタレに混ぜ、あったかいごはんの上にかけて食べる。室町から戦国時代にかけて活躍した村上水軍が船上で食べていた料理が、漁師に受け継がれていったとか。

出張先でおいしいものを食べたとき、味と盛り付けを覚える。家庭で再現するためだ。本場の味にはかなわないが、土産としてオヤジが作ってくれた料理として家族の記憶に残るだろう。

滝村 雅晴氏
たきむら・まさはる

パパ料理研究家。昭和45年生まれ、京都府出身。立命館大卒。平成21年、ビストロパパ代表。26年、日本パパ料理協会設立、会長飯士就任。28年、農林水産省食育推進会議専門委員。SAKANA&JAPAN PROJECT(推進協議会・産経新聞社など)の一環で、父親を魚食推進の担い手に任命する「パパさかな大使」の代表を務める。

Page Top