魚の国 宝の国 SAKANA & JAPAN PROJECT

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滝村雅晴のパパ料理のススメ!

2022年1月20日
Column #046

料理を食べてくれる家族がいる幸せ

家族みんなが笑顔になるわが家の「ユリドリア」

あれから10年。1月12日、長女の優梨香が8歳8カ月で天国に旅立ってから流れた年月だ。彼女が生まれるまでまったく料理をしてこなかったが、誕生を機に作るようになった。しかし、自分勝手な趣味料理ばかり作り、妻に迷惑をかけた。その反省から、世の中の父親が自分軸ではなく、家族軸で料理をする世の中を創りたいとパパ料理研究家になったのだ。

当たり前のように家族4人で囲んでいた食卓は、妻と次女の3人と、長女の写真になった。そのような暮らしは、長女と過ごした日々より長くなった。

料理は好きだが、時に面倒な時もある。日々作っている人ほど作ってもらったごはんはうれしい。作り手の気持ちが分かるからこそ、よりおいしく食べることができる。

座ったら食事が出てくるのは、とても幸福なことだ。私もそう思っていた。しかし、この10年ずっとかみしめていた。作ってもらうごはんもうれしいけれど、食べてくれる家族がいることが、何より幸せで尊いことなのだと。どれだけ作っても、いまは優梨香に食べてもらえない。

今年の命日に、長女に食べてもらいたい料理を作った。彼女が好きだったオムライスの中のチキンライスと、クリームソースの両方が一緒に食べられるドリアだ。ドリアを作るのはひと手間かかる。だから時間があるときに、料理を楽しみながら作ろう。わが家のみんなが好きな味に仕立てた品を「ユリドリア」と名付けた。毎日、私が作る料理を妻や次女が長女の皿に取り分けてくれる。小皿に盛られたユリドリア。食べてくれて、ありがとう。

滝村 雅晴氏
たきむら・まさはる

パパ料理研究家。昭和46年生まれ、京都府出身。立命館大卒。平成21年、ビストロパパ代表。26年、日本パパ料理協会設立、会長飯士就任。28年、農林水産省食育推進会議専門委員。SAKANA&JAPAN PROJECT(推進協議会・産経新聞社など)の一環で、父親を魚食推進の担い手に任命する「パパさかな大使」の代表を務める。

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