魚の国 宝の国 SAKANA & JAPAN PROJECT

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滝村雅晴のパパ料理のススメ!

2022年8月18日
Column #053

「鳥飼なす」三昧で暑すぎる夏を乗り切る

大きいものはソフトボールくらいに育つ「鳥飼なす」

丸々とした9つのナスが、大阪府摂津市から届いた。大阪府の「なにわの伝統野菜」に認定されている「鳥飼(とりかい)なす」だ。同市に住む友人が、そのおいしさを知ってもらいたいと、手配してくれた。市内の鳥飼地区でしか生産されていない。生産者は、府知事認定「農の匠」でもある渡邊ファーム代表の渡邊勝彦さん(66)だ。最盛期に栽培農家は60軒前後あったが、一時1軒に。その1軒が大切にタネを継承し、今では渡邉さんを含め3軒で生産されているという。収穫期間は7~9月初旬まで。手間暇がかかり連作もできず、生産量が少ないことから、まぼろしのナスと呼ばれている。

縁あってわが家にきた鳥飼なすを存分に楽しませていただいた。特徴である、丸々とした形を生かした料理がよさそうだ。輪切りにしてピザの生地代わりにしトマトソース、ソーセージ、チーズ、バジルをトッピングしてオーブンで焼いた「なすピザ」は自然なナスの甘みがいい。ギョーザのタネをナスで挟んで揚げた「なすギョーザ天」もジューシー。ナス好きならぬか漬けもおさえておきたい。七味しょうゆにつけて炊き立てご飯と食べる。これで暑すぎる夏も乗り切れる。

摂津市では市の特産品である鳥飼なすの保存・普及のための活動を地元の小学生たちと行っている。子供たちと市民が一緒に鳥飼なすの絵を描くなど、自慢の野菜を知ってもらうコツコツとした取り組みが奏功しファンが広がっている。

地域に根差した貴重な野菜を、生産者とともに市民が楽しみながら、継承していく仕組みがいい。見た目も愛らしい鳥飼なす。まぼろしにするのは、もったいない。

滝村 雅晴氏
たきむら・まさはる

パパ料理研究家。昭和46年生まれ、京都府出身。立命館大卒。平成21年、ビストロパパ代表。26年、日本パパ料理協会設立、会長飯士就任。28年、農林水産省食育推進会議専門委員。SAKANA&JAPAN PROJECT(推進協議会・産経新聞社など)の一環で、父親を魚食推進の担い手に任命する「パパさかな大使」の代表を務める。

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