魚の国 宝の国 SAKANA & JAPAN PROJECT

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2023年02月10日
#014

「未利用魚」食べてSDGs貢献

皮付きのまま香ばしく焼いたかば焼き風の「ウツボ串」

漁獲量が少なかったり、下処理が通常の魚に比べて大変だったり、一般には知られていなかったりといった理由で、食べられることなく廃棄されたりしている「未利用魚」。魚ジャパンフェスでは、そんな未利用魚を味わうことができる。世界の水揚げ量の30~35%が廃棄されているといわれており、未利用魚の有効活用は、国連の「SDGs(持続可能な開発目標)」の「飢餓をゼロに」や「海の豊かさを守ろう」に貢献する取り組みとして注目を集めている。

「ウツボ串」新名物に観光客誘致も

静岡県西伊豆町のブースで味わうことができるのが、ウツボだ。凶悪な様相から“海のギャング”とも呼ばれるウツボだが、実はゼラチン質を多く含み、うま味の濃いおいしい魚だ。日本の南西諸島から日本列島に沿って黒潮が流れる海域に広く生息し、資源量も豊富。ただ、その様相に加え、小骨が多くさばくのに手間がかかることから、高知県や和歌山県などごく限られた地域で郷土料理として食されている以外は、ほとんど一般には流通していない。

西伊豆町でも、エサを入れた筒を仕掛けて取るウツボ漁を行っている漁師は自家消費が目的の1人だけという。同町職員の松浦城太郎さんは「そのおいしさを知り、町の新しい名物にしたいと考えた」と話す。

まず、町内にある直売所「はんばた市場」で販売することにした。1尾ずつ丁寧に骨取りをした切り身のほか、唐揚げや天ぷらなどの総菜にして店頭に並べた。大きなサイズのものが入荷した際には、皮を引いて刺し身にして販売。店頭での販売に加え、東京都内の飲食店などにも売り込みをかけた。物珍しさもあり、反応は上々という。

今回、魚ジャパンフェスで販売するのは、「ウツボ串」。皮付きのままブツ切りにして串に刺し、甘辛のつめダレを塗って焼き上げたかば焼き風の一品だ。価格は2本で500円。

「皮ぎわにおいしい脂がのっている。身はしっかりとした歯応えがあり、かむほどにうま味が口に広がる」と、松浦さん。

今後ははんばた市場での販売に加え、町内の飲食店でも提供するなど、ウツボ料理を町の新しい名物としてPRし、ウツボ料理を食べることを目的とした観光客の誘致につなげていきたい考えだ。

“海のギャング”とも呼ばれる凶悪な様相から一般にはほとんど流通していないウツボ

松浦さんは「未利用魚を食材として有効利用することに加え、観光資源として活用することで、地域の活性化にもつなげていきたい。まずはウツボのおいしさをたくさんの人に知ってほしい」と、力を込める。

西伊豆町ブースでは、ウツボ串のほか、特産の干物を丸ごと粉末にして濃厚なスープにした「超濃縮!エボダイひもの丸ごとラーメン」や、カツオ節の原形とされる塩カツオをトッピングした「しおかつおうどん」も味わえる。

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