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2019年11月8日
 
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「鯨食」拡大へ 若い世代においしさPRステーキ、パエリア…イメージ刷新のメニュー考案

 

今年7月に31年ぶりに商業捕鯨が再開されたことを受け、「鯨食」の復活が課題となっている。大きく落ち込んだ消費の拡大には、クジラを食べたことがない若い世代への普及がカギとなる。そこで、今年9月に開設されたクジラに関する総合サイト「くじらタウン」は、東京・日比谷公園で14~17日に開かれる第5回「ジャパン フィッシャーマンズ フェスティバル2019~全国魚市場&魚河岸まつり~」に出店し、クジラ料理を提供する。

「ジャパン フィッシャーマンズ フェスティバル」で提供される「くじらステーキ」

提供するメニューは「くじらステーキ」と「くじらのパエリア」。鯨専門店「らじっく」(東京都あきる野市)が監修し、出店の運営も行う。

鯨肉は古くは江戸時代から庶民の間で食され、戦後の食糧難の克服にも貢献し、ピーク時の昭和37年には国内消費量が約23万3000トンに上った。しかし、鯨類の資源枯渇を懸念し国際捕鯨委員会(IWC)が決めた商業捕鯨の一時停止を日本も受け入れ、63年に中断。その後、資源状況を調べる調査捕鯨を行ってきた。調査捕鯨で捕獲されたクジラは、資源管理のための研究用サンプルが採取された後、有効利用のために持ち帰り、鯨肉などが市場で流通していたが、年間消費量は5000トン前後まで落ち込んだ。

日本はIWCを脱退し今後は科学的データに基づき、持続可能な規模での捕鯨を続けるが、鯨食文化を守っていくためには、若い世代がクジラを食べる機会を増やしていくことが重要となる。

このため、商業捕鯨の再開を目指し活動してきた日本捕鯨協会は、高タンパク低カロリーのヘルシーな食材であることを訴求し、「くじらバーガー」や「鯨ユッケ」などの新メニューを提案している。

商業捕鯨を行う共同船舶所属の久保好さん

「事業として商業捕鯨を行っていくことに不安はあるが、不安は事業としての伸びしろだと考えている」

商業捕鯨を行う共同船舶(東京都中央区)に所属し、同協会で支援チームリーダーを務める久保好さんは、こう語る。

従来の鯨肉のイメージを刷新しようと、新メニューの考案とともに、焼き肉店などに鯨肉の提供を働きかけている。久保さんは「ユッケは生食が禁止されている牛肉に代わるメニューとして好評」と、手応えを感じている。

また「健康志向の強い現代人の食生活に適している」と、鯨肉のヘルシーさを強調する。牛、豚、鶏肉に比べ高タンパク低カロリーで、疲労回復や老化物質(活性酸素)の除去に効果があるとされるアミノ酸成分「バレニン」を多く含んでいるのが特徴。青魚に多く含まれ、生活習慣病の予防・改善に役立つDHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)も豊富で、久保さんは「哺乳類と魚類の良いところを併せ持つ食材」と、胸を張る。

昨年は4日間で約16万人が来場した「ジャパン フィッシャーマンズ フェスティバル」では、おいしくてヘルシーな鯨料理を提供し、日本の大切な食文化の一つである鯨食の復活につなげていきたい考えだ。

第5回 JAPAN FISHERMAN'S FESTIVAL 2019

 

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