魚の国 宝の国 SAKANA & JAPAN PROJECT

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食育専門家・浜田峰子の魚で元気な未来!

2017年6月16日
Column #003

旬を知って英語で魅力発信

私は新宿調理師専門学校で「食育」や「食による地域活性化」などの授業をしていますが、もう一つ、英語の授業も担当しています。といっても受験のための英語ではなく、「食のおもてなし」に特化した授業です。外国人に日本の食の美味(おい)しさと素晴らしさを、わかりやすく伝えられる英語力を身につけることを目的に、オリジナルのプログラムとテキストを作成して教えています。

授業では、まず日本の食文化や歴史、旬について日本語でしっかりと理解してから英語に取り組むことを重要視しています。例えば、「鮨(すし)」のネタの魚の漢字と読み、意味、旬をしっかりと学習します。漢字は、ものの形をかたどって生まれた文字が多く、中でも魚偏の漢字は魚の生態や特徴をよく表しています。「鮨」という漢字自体、「魚が旨(うま)い」と書きます。

「鰈(かれい)」は英語で「right-eye flounder」、「鮃(ひらめ)」は「left-eye flounder」と呼ばれています。「左ヒラメに右カレイ」というように目の位置で区別することを知っていれば、英語も覚えやすいでしょう。また、「魬(はまち)」は「young yellowtail」で、「鰤(ぶり)」は「yellowtail」です。成長に従い呼び名が変わる「出世魚」で、実物の魚の尾びれが黄色いことを理解していれば、英語にも納得するでしょう。

「鰆(さわら)」や「鱈(たら)」は、漢字がそのまま旬を表して分かりやすい魚です。では「鯏(あさり)」はどうでしょうか? 「浅瀬を漁(あさ)ってとる」が語源とされています。春にミネラルをたっぷり含んだ雪解け水が海に流れ込み、鯏はそこで発生する良質なプランクトンを食べて成長し産卵期を迎えるので、春が身もぷっくりとして味わい深い旬です。こんな生態を理解していれば、心の底から「旬の美味しさを味わってほしい」という気持ちでおすすめできるようになります。

皆さんは魚の旬をいくつ知っていますか? 英語が話せるだけでは本当の魅力を伝えることはできません。まずは日本の魚食文化や旬について知るところから始めてみましょう。

魚の漢字を理解していれば、英語で旬や魅力を伝えやすい

浜田 峰子
はまだ・みねこ

食育専門家。「美味しく楽しく 笑顔は食卓から」をコンセプトに、食の専門知識を生かし水産庁の各種委員や調理師専門学校講師を務めるほか、本の執筆やTVコメンテーターとして各メディアで活動。食育セミナーや食を通じた地域活性化にも精力的に取り組んでいる。著書に「浜田峰子のらくらく料理塾」など。

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