都内で4月21日に開かれた「春のパパ子魚料理教室」
子育て中のパパたちと、魚食を通して家族の笑顔を増やす「パパさかな大使」プロジェクトが、「さかなの日」の3月7日にスタートした。パパさかな大使検定を受けて合格すれば、「パパさかな大使」になれる。私はパパさかな大使代表として日々、家族いっしょにおいしい魚料理を食べる楽しさを伝えている。
4月21日にパパさかな大使を対象とした「春のパパ子魚料理教室」が都内で開催され、講師を務めた。子供に魚をおいしく食べてもらいたいパパ10人と子供13人が参加し、大使同士の交流を行った。
親子の会話が多い、子供たちが元気、先生である私に話しかけてくる家族が多いと盛り上がる。9年ほどパパ子料理教室で教えているのですぐに分かる。この日はまさにそう。パパさかな大使のパパたちは、親子仲が良くて明るかった。
料理教室で使う食材の目玉は築地仲卸から直接仕入れた新鮮な丸々としたイワシ。刺し身がおいしいと仲卸から聞いたので、準備中にさばいて刺し身に。生姜醬油(しょうがじょうゆ)でいただいたが、最高の脂ののりで味わい深かった。丸魚のイワシ50匹をスーパーで調達するのは難しい。業務用として事前に仲卸に注文することで無事仕入れることができた。
ピカピカ光ったきれいな丸のイワシを見て子供たちは大興奮。ウロコをとって頭を落とし、腹を切って内臓を取り出す様子を真剣に見ている。子供はホンモノが好き。そして、自分でやりたがる。教室では火の使い方から、包丁の持ち方、置き方、切り方まで丁寧に教える。人間は火と道具で進化した。正しい火と包丁の使い方を子に教えるのは、生き方を教えることだ。だからこそ、パパから子へ指導してほしいとパパたちに伝えている。
この日作ったメニューは築地直送イワシのガーリックソテー、イワシの頭で出汁(だし)をとったあら汁、サバ缶炊き込みごはん、寒天で作るイチゴミルクプリンの4品。皆上手に作り上げた。
料理教室の一番の目的は、魚をさばくことではない。魚を身近に感じてもらい、親子の共同作業を通して、海の幸ごはんをいっしょに作っていっしょに食べる楽しさに気付いてもらうことだ。骨だけ残った皿が親子のいい時間になったことを物語っていた。
パパ料理研究家。昭和45年生まれ、京都府出身。立命館大卒。平成21年、ビストロパパ代表。26年、日本パパ料理協会設立、会長飯士就任。28年、農林水産省食育推進会議専門委員。SAKANA&JAPAN PROJECT(推進協議会・産経新聞社など)の一環で、父親を魚食推進の担い手に任命する「パパさかな大使」の代表を務める。