男性17分、女性3時間7分。この数字は、6歳未満の子供がいる家庭の夫と妻の家事時間の数字だ(総務省の平成28年社会生活基本調査から)。夫の家事時間は少ないが、これでも5分だった20年前より12分増えているのだ。妻の家事は4時間8分から1時間1分の減少。その代わり育児時間は妻が20年前に比べて1時間2分増えて3時間45分に。夫も21分増えて49分と、育児に時間をかける傾向があるが、家事、育児とも夫婦間の格差は歴然としている。
炊事、洗濯、掃除など家事の中で毎日同じ時間にする必要があるのが炊事。晩ごはんが面倒だからと翌日に回せば朝ごはんになる。では炊事をまとめてできないだろうか? おかずを週末に「つくりおき」をしておけば、まとめることができる。つくりおきのレシピ本が大ヒットしているように、共働き家庭にとって欠かせない料理術が「つくりおき」だ。市販のお総菜や、冷凍食品、出前も活用すれば、食事の支度は楽になる。
日々の献立を考え、支度をする手間が省ければ、家族は自分の時間を自由に使える。急いで家に帰って料理をする必要もない。さらに、家族全員誰もが料理の支度をできるようになると、皆が自由になる。
先日、中学1年生になった次女が、夕食の準備を全部してくれた。私と妻が帰宅すると食卓にハンバーグとサラダが用意されていたのだ。おかげで仕事を終わらせてから、温かい出来立ての夕食を家族で食べることができた。娘の料理が夫婦に自由な時間をくれたのだ。味は、今までの料理とは比べられない格別においしいハンバーグだった。
誰もが自由になれるためには、料理力を身につける必要がある。そこで、料理初心者でも自宅でスキルを上げられる料理教室アプリ「FamCook」を開発した。「次」とスマホに向かって話すだけで、画像と音声で作り方を教えてくれるのだ。スマホに触る必要はなく、指示された通りに作れば、料理が完成する。パパさかな大使代表として魚食推進のために、さかなレシピも掲載中。一度試してほしい。
誰もが誰かのために料理の支度をできる世の中は、きっと居心地がいいはずだ。
パパ料理研究家。昭和45年生まれ、京都府出身。立命館大卒。平成21年、ビストロパパ代表。26年、日本パパ料理協会設立、会長飯士就任。28年、農林水産省食育推進会議専門委員。SAKANA&JAPAN PROJECT(推進協議会・産経新聞社など)の一環で、父親を魚食推進の担い手に任命する「パパさかな大使」の代表を務める。