子供たちは抜いたばかりの大根を丸かじりし、その甘さに驚いた
「佐久鯉」が名産の長野県佐久市で農家を営む羽田聖一さんの畑に通うようになって4年目。今年も10月に野菜の収穫に伺った。私が関わっているNPO法人「グリーンパパプロジェクト」の活動の一環として、都会に住む家族らと農業体験のために訪問している。羽田さんは「自然との接点がなくなり、野菜はカット野菜だと思っている子供がいる。以前から田舎と都会とのつながりを作りたかった」と、われわれとの交流を快く引き受けてくれた。
春になると、稲や野菜の苗を植えに足を運び、秋には収穫を楽しみに訪れる。今回は羽田さんが甘さ、やわらかさにほれ込んだ通年栽培されているキャベツの収穫を手伝う。一番の醍醐味(だいごみ)は、採れたてキャベツをその場で食べること。そのおいしさ、甘さに感動し、喜ぶ子供たちを見て、羽田さんが別の畑から大根をひっこ抜いてくる。子供たちも大根を抜きまくる。土つきの大根を見て、食べたいと言い出した。
手際よくカットして子供たちに渡す羽田さん。大根をまるごとかじるのは、みな初めて。みずみずしく甘い梨のような味わいに、次々に子供たちが群がる。子供たちは野菜嫌いなんかではない。おいしい野菜が大好きなんだ。
お土産の野菜を持ち帰り、まるごとおいしくいただいた。お世話になっている羽田さんが作った野菜だからこそおいしさも格別。知り合いが作ったものを消費する楽しさ。「地産地消」ならぬ「知産知消」だ。まもなく佐久市からお米が届く。笑ってる羽田さんの顔を思いながら新米を味わいたい。
パパ料理研究家。昭和45年生まれ、京都府出身。立命館大卒。平成21年、ビストロパパ代表。26年、日本パパ料理協会設立、会長飯士就任。28年、農林水産省食育推進会議専門委員。SAKANA&JAPAN PROJECT(推進協議会・産経新聞社など)の一環で、父親を魚食推進の担い手に任命する「パパさかな大使」の代表を務める。