「トモショク」の食卓風景
「働き方改革関連法」が今年4月1日から施行された。労働基準法が改正され、労働時間の上限規制が設けられ、社会全体として長時間労働を是正する動きが広がっている。
ここで、大切なことは、「なぜ長時間労働を是正し定時退社するのか」という理由だ。
昭和に生まれ育った世代は、とにかく働きづめで、家で食事を共にしない父親の姿を見て育ってきた。小学生のころ、働いて帰ってきた父と夕食を食べた記憶がほとんどない。家に遅く帰って一人で食事をするか、仕事で飲んで食べて帰ってくるか。それが父親の姿だった。
「定時退社をする理由」
それは家族で一緒に食事をするためではないか。食べることは生きること。食卓を家族で囲む回数は有限である。それを世に問いかけて、家族で一緒に食事をすることを当たり前の世の中にする。
そのために、私が所属するNPO法人、ファザーリング・ジャパンでは、「働きながら家族がトモに食事をする世の中を創るトモショクProject」を立ち上げる。25日にはキックオフシンポジウムを東京都文京区で開催する。
家族や友人と夕食の食卓を囲む生き方をすることが「働き方改革」なのではないか。企業にも「トモショク(共食)宣言」をしてもらい、社員のトモショクを推進してもらう活動に取り組んでいく。
夕食時に、父親が当たり前のように食卓にいる。自然と、家事のシェアが進み、パパが料理をすることになる。一番楽しいことは何と聞かれて、「早く家に帰って家族とトモに楽しく食事をすること」と答える大人を増やしたい。(パパ料理研究家)
パパ料理研究家。昭和45年生まれ、京都府出身。立命館大卒。平成21年、ビストロパパ代表。26年、日本パパ料理協会設立、会長飯士就任。28年、農林水産省食育推進会議専門委員。SAKANA&JAPAN PROJECT(推進協議会・産経新聞社など)の一環で、父親を魚食推進の担い手に任命する「パパさかな大使」の代表を務める。