魚の国 宝の国 SAKANA & JAPAN PROJECT

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滝村雅晴のパパ料理のススメ!

2019年11月21日
Column #020

アオリイカ釣りから学ぶ

釣り上げたアオリイカ

昨年に続き、三重県尾鷲市にアオリイカを釣りに行った。案内役は大学の同級生で三重県に住む平子順一君。アオリイカ釣り歴23年の大ベテラン。同じく同級生の太刀魚(たちうお)釣り歴20年超の貴志充隆君も和歌山県から駆けつけた。

日の出前の朝6時に尾鷲の九鬼漁港の渡し船屋に集合。心地よい寒さの中、平子君お薦めの筏(いかだ)に向けて出港。大きく入り組んだ港から船が出ると、またたく間に海と空に囲まれた。アオリイカは関東以南から沖縄まで、水温がおおむね15度以上の水質が良く、潮通しのよい所で釣れる。

尾鷲は水深が深く、水温が安定しているのでよく釣れるとのこと。「ルアーをいかに本物のエビのように見せるかの攻防。かかったときに驚くほどの逆噴射の抵抗をみせるなど、ハラハラドキドキ感が楽しい。何より食べておいしく、冷凍後も刺し身で味わえる」と平子君。

彼の教えの通り竿(さお)をしゃくっていると貴志君が見事に1匹目を釣り上げた。が、スカリ(網)に穴が開いて逃してしまう大失態。

実はアオリイカは以前より釣れなくなったらしい。温暖化で全国的にアオリイカの産卵床になるホンダワラなどの海藻が減少しているのが原因だとか。そこで尾鷲市は間伐材を海底に沈めて人工産卵床を作るなど、水産資源の保護に積極的に取り組んだ。資源保護と間伐材の有効利用が一石二鳥で解決できる画期的な取り組みだ。

それが釣果に表れたようだ。釣れたアオリイカを筏の上で捌(さば)いて食べながら平子君が教えてくれた。なぜ釣れるのか。ストーリーを聞きながら釣った魚を食べるのが大好きだ。そして尾鷲の海も好きになった。

滝村 雅晴氏
たきむら・まさはる

パパ料理研究家。昭和45年生まれ、京都府出身。立命館大卒。平成21年、ビストロパパ代表。26年、日本パパ料理協会設立、会長飯士就任。28年、農林水産省食育推進会議専門委員。SAKANA&JAPAN PROJECT(推進協議会・産経新聞社など)の一環で、父親を魚食推進の担い手に任命する「パパさかな大使」の代表を務める。

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