娘の誕生日に作ったサーモンのカルパッチョ
わが家の記念日の食卓には「魚介のカルパッチョ」が並ぶ。妻や娘から必ずリクエストがあるのだ。刺し身をしょうゆではなく、オリーブオイル、塩、コショウ、レモンをかけて食べることに感動し家族みんなが大好きになった。しかし、この食べ方は日本流らしい。
カルパッチョはイタリア発祥で、生牛肉にチーズやソースをかけて食べる料理だ。そのイタリア料理が日本で広まったときに、日本の食材に合わせて進化して、魚介のカルパッチョになったとか。
これはすごい革命だ。今までとは違う、簡単でおいしい食べ方が広がることで魚好きが増える。魚介のカルパッチョが魚食推進の一躍を担っているのだ。
まさにわが家はカルパッチョで子供が魚好きになった。タイ、ヒラメ、マグロ、カツオ、イナダ、ホタテ、タコなどで何度も作った。今月誕生日を迎えた娘に、バースデーディナーは何が食べたいか聞くと、やっぱり「カルパッチョ」だった。ただ、好みの魚種が変わってきた。マグロからサーモンになったのだ。これは娘に限ったことではなく、全国的な傾向。回るすしで一番人気のネタは、マグロではなくサーモン。炙り、マヨネーズなどバリエーションも多く若者受けし、価格も手ごろ。回転ずしならではの新しいメニューとして一般化している。
昨年サンマの水揚げ量が過去最低になり、鮮魚店で1匹500~600円で売られていた。消費者としては高級魚になりつつあるサンマを受け入れながらも、時代に合った新しい魚の食べ方を食卓で楽しみたい。子供と一緒に。(パパ料理研究科)
パパ料理研究家。昭和45年生まれ、京都府出身。立命館大卒。平成21年、ビストロパパ代表。26年、日本パパ料理協会設立、会長飯士就任。28年、農林水産省食育推進会議専門委員。SAKANA&JAPAN PROJECT(推進協議会・産経新聞社など)の一環で、父親を魚食推進の担い手に任命する「パパさかな大使」の代表を務める。