魚の国 宝の国 SAKANA & JAPAN PROJECT

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滝村雅晴のパパ料理のススメ!

2020年06月18日
Column #027

鰹節を削りライフシフト

本枯節と自分で削った削り節

先日、2カ月ぶりに電車に乗った。当たり前だった景色が新鮮に感じられた。反対に在宅が続くことで、家庭の食卓に新鮮味を感じられなくなってきた人もいるだろう。そんなときは、いつもよりワンランク上の食材や調味料に手を出してみよう。例えば、生わさびをすりおろしてみる。ちょっと高級な醤油(しょうゆ)やバターを選ぶ。いいワインを買う。風味や香りが変わることで、いつもの食事に特別感がでる。私は鰹節(かつおぶし)に凝って、自分で削り始めてみた。

鰹節は鰹の身を加熱、乾燥させて作られた日本で古くから伝わる保存食。スーパーで、パックで売られているのは正確には鰹節ではなく削り節になる。

小学生のころ、正月の雑煮用に鰹節を削って以来、40年ぶりに削りたくなり、本枯節の鰹節と鰹節削り器を用意した。

しゅっ、しゅっと、小気味いい音とともに削り節ができる。ああ、こんな感触だった。地道に削る。手を動かす分だけ、削り節が山のように積み上がっていく。香りが生きているようだ。上手に削れるまで、角度を変える。細かくなったり、ふわふわになったり。押したり引いたりして、いい削り具合を探る。

さて試食。削りたてを炊きたてあつあつのご飯の上にのせ、醤油をかける。うん。食べたかった味だ。いつもと同じように炊いたご飯が特別な味に感じる。その日から、お浸し、味噌(みそ)汁、炒飯、焼きそば、おじやと、削った鰹節をかけて食べている。いつもの料理が、どれも新鮮に感じられるようになった。仕事も料理も、何か新しく始めるとワクワクが増えて楽しくなるものだ。

滝村 雅晴氏
たきむら・まさはる

パパ料理研究家。昭和45年生まれ、京都府出身。立命館大卒。平成21年、ビストロパパ代表。26年、日本パパ料理協会設立、会長飯士就任。28年、農林水産省食育推進会議専門委員。SAKANA&JAPAN PROJECT(推進協議会・産経新聞社など)の一環で、父親を魚食推進の担い手に任命する「パパさかな大使」の代表を務める。

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