宝石のような海ぶどうをのせたサラダ
東京都豊島区の巣鴨地蔵通り商店街に、地方の物産を扱うアンテナショップ「ガモールマルシェ」が6月、オープンした。巣鴨にキャンパスがある大正大学が、地域活性化と人材育成を目的に運営に関わっている。
毎月、大学と連携している地域の物産フェアを開催しており、新潟県佐渡市、兵庫県淡路市、静岡県藤枝市と実施した。店頭に商品を並べるだけでなく、店内にあるキッチンで、私がその地域の食材を使った調理の実演を行い、「YouTube(ユーチューブ)」でライブ配信を行っている。
佐渡市は一夜干しイカを熟練職人が作る佐渡バターで炒めた一品を紹介。イカと極上バターの味は抜群。淡路市はタマネギ。特徴は甘さ。タマネギを厚めに切りバターで焼いて塩、コショウを振るだけでメインディッシュになる。
藤枝市からは、海ぶどうが届いた。沖縄県産の海ぶどうを輸送し、駿河湾の深層水で育てたものだ。海ぶどうは、冷凍も冷蔵もできない、鮮度管理が難しい食材。家庭でも、冷蔵庫での保存は厳禁だ。本土から遠く離れた沖縄県からの輸送は、天候の影響もあり、ハードルが高かった。しかし、藤枝市で養殖することで、鮮度の良い海ぶどうを安定的に出荷できるようになった。
沖縄県の海ぶどうが抱える課題を解決するとともに、藤枝市の新しい名産品を生み出すという、地域活性化の好例だ。ガモールマルシェは大正大学の学生にとって、学びの多い場所なのだ。
海ぶどうをサラダにのせ、ポン酢とごま油をかけ、プチプチとした食感を楽しんだ。マルシェに並ぶ食材は知れば知るほど買いたくなるものばかりだ。
パパ料理研究家。昭和45年生まれ、京都府出身。立命館大卒。平成21年、ビストロパパ代表。26年、日本パパ料理協会設立、会長飯士就任。28年、農林水産省食育推進会議専門委員。SAKANA&JAPAN PROJECT(推進協議会・産経新聞社など)の一環で、父親を魚食推進の担い手に任命する「パパさかな大使」の代表を務める。