初競りで腹側を上にして並べられる松葉ガニ
松葉ガニは、毎年11月6日に漁が解禁され、7日に初競りが行われ、市場に出回る。今年は、その初競りに参加できた。
鳥取県で松葉ガニなどの海産物仲買業を営む中村商店さんが初競りをフェイスブックでライブ配信するということで、中継実況を担当したのだ。
午前7時40分、初競りが行われる鳥取県賀露(かろ)港は快晴。過酷なカニ漁から戻ってきた漁船が沿岸で休んでいる。すでに、市場には最初に競りにかけられる最高級の松葉ガニ「五輝星(いつきぼし)」が並ぶ。その隣にも一般的なサイズより大きな松葉ガニが裏返しで陳列されている。カニの良しあしは腹側を見て目利きをするとのこと。
仲買人たちによって、大きなサイズから順に競り落とされると、次は、「親ガニ」や「セコガニ」と呼ばれる松葉ガニのメスが競りにかけられる。資源保護のため、親ガニの漁は年内で終わる。地元では、親ガニと大根を煮て味噌(みそ)汁にして食べる郷土料理があり、全国にファンも多く、あっという間に買い手が決まる。
以前は放送機材や設備を持つテレビ局にしかできなかった生中継が、今では誰もが簡単に現地の熱気をスマホ一つで生配信することができる。そして視聴者からは、リアルタイムでコメントが書き込まれる。食卓と水揚げされた現場がつながる瞬間だ。そして、その様子をネットで見ながら松葉ガニを特別価格で買える「ライブコマース」という仕組みもある。
市場に水揚げされた松葉ガニを見ながら買い物をする。届いた松葉ガニはさぞおいしいだろう。これからもっと生産現場と食卓は近くになるに違いない。
パパ料理研究家。昭和45年生まれ、京都府出身。立命館大卒。平成21年、ビストロパパ代表。26年、日本パパ料理協会設立、会長飯士就任。28年、農林水産省食育推進会議専門委員。SAKANA&JAPAN PROJECT(推進協議会・産経新聞社など)の一環で、父親を魚食推進の担い手に任命する「パパさかな大使」の代表を務める。