魚の国 宝の国 SAKANA & JAPAN PROJECT

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和食伝導 金沢から世界へ 髙木慎一朗

2020年1月31日
Column #004

大地の恵み詰まった加賀野菜

うま味と栄養が詰まった「加賀れんこん」

金沢も真冬に入り、海の幸に恵まれる季節となりました。観光にお越しになる国内外のお客さまから海産物に関するたくさんのご質問や興味をもっていただくことは大変ありがたいことだと思っています。海産物が有名になる一方で、忘れてはならないのが野菜です。

金沢で昭和20年以前から栽培されている野菜のことを「加賀野菜」と言います。私ども「日本料理 銭屋」でも、さまざまな加賀野菜を使った献立をお出ししています。たとえば、冬といえばセリがあります。金沢のセリは繊維質が柔らかく、香りも柔らか。冬の海産物の代表でもあるブリを使ったブリ大根の青みとして添えることで金沢ならではの一品が仕上がります。ダイコンといえば「源助だいこん」。聞きなれない名前かと思いますが、食感は柔らかいのに煮崩れしない特徴を持ち、おでんの具に最適です。

そして、「加賀れんこん」。銭屋でお出しする「蓮蒸し」はこれをすって、ユリ根、アマダイ、ウナギ、ギンナンなどを包んで蒸し上げたものです。仕入れ先の農事組合法人「蓮だより」の川端崇文さんは農薬や化学肥料を使わない「土づくり」にこだわり、うま味と栄養が詰まった加賀れんこんを栽培しています。

良質な土壌でつくられた加賀れんこんはでんぷん質を豊富に含み、粘りが強いため卵白などのつなぎが必要ありません。素材本来の味をお伝えできる一品になっています。

このように金沢の食文化は海のみならず、「大地の恵み」によって豊かに育まれているといえます。令和2年となり、これからも食の豊かさによって人の気持ちを豊かにしていきたい、そして和食への熱き思いを「伝導」していきたいと考えています。

髙木 慎一朗氏
たかぎ・しんいちろう

昭和45年開業の「日本料理 銭屋」の2代目主人。京都吉兆で修業の後、家業を継ぎ、平成28年に「ミシュランガイド富山・石川(金沢)2016特別版」で2つ星を獲得。29年に農林水産省の「日本食普及の親善大使」に任命された。

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