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和食伝導 金沢から世界へ 髙木慎一朗

2021年10月15日
Column #024

日本料理にもカレーにも欠かせぬお米

今年も実りの秋を迎え、各地で稲刈りが行われいる

爽やかな秋晴れというよりも、夏のような暑さの10月某日、昼ごはんを何にしようかと思案した揚げ句、ふと思い浮かんだインド料理屋に行きました。キーマカレーとサフランライスを注文し、その辛さに汗をかきながらもおいしく頂きました。料理に携わる仕事をしている立場上、刺激的な味や風味を持つ料理をできる限り食べないようにしていますが、仕事に影響しないスケジュールであれば、カレーのように香辛料の効いた料理を楽しむこともあります。もちろん日本のカレーも好きですが、どちらかといえば伝統的なインドカレーが好みです。

インド料理との接点をお話しするには、随分昔に遡(さかのぼ)らなくてはなりません。16歳の夏、高校を休学し交換学生として渡米しました。1年間滞在し、その間お世話になったホストファミリーは3軒あったのですが、2番目がインド人の家族だったのです。当時としては当たり前ですが、渡米してから全く日本料理を食べておらず、料理のスタイルは全く違いますが、ほぼ毎日お米を食べられることはとてもうれしかったものです。

銭屋のカウンターで「日本料理ってどんなものですか?」とお客さまからたまに聞かれることがあります。そんな質問には私はいつもこう答えます。「ご飯を主食として、それに合うように仕立てられた料理です」と。もちろん、これは私の個人的な意見で、諸説があることは承知しております。ただ、太古の昔から神事にも用いられるお米や日本酒は、伝統的な日本の料理においては不可欠なものです。お米を原料にして作る日本酒は、「並行複発酵」という複雑なメカニズムの同時発酵技術で製造されることが特徴で、今や世界中で日本酒ブームが起こり、輸出量は年々増えているそうです。

日本料理において重要なお米ですが、外国料理のカレーと出合ったり、日本酒として輸出されたりして伝承されていることはとても興味深いですね。

髙木 慎一朗氏
たかぎ・しんいちろう

金沢の「日本料理 銭屋」の2代目主人。「ミシュランガイド北陸2021特別版」で二つ星と、環境配慮を評価する「グリーンスター」を獲得。

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