トレジオンで提供する「さんまのポーポー焼き」(手前左)、「ほっきグラタン」(同右)、「うに貝焼き」(奥)
福島県産のおいしい魚介類を多くの人に食べてもらおうと、産経新聞社は「ふくしま『常磐(じょうばん)もの』を食べようプロジェクト」を立ち上げた。常磐ものは福島・茨城両県沖の海域(常磐沖)で取れる魚介類で、市場での評価も高い。プロジェクトでは、東北6県の食材を主役とした料理を提供している「トレジオン」(東京都港区)と協力。新たに考案した「さんまのポーポー焼き小籠包」など常磐ものを使った魚介料理を提供する。
「福島はおいしい食材の宝庫。復興のためというのではなく、純粋においしいから一人でも多くの人に食べてもらいたい」
トレジオンの吉田慶社長は、こう力を込める。
このプロジェクトは、東日本大震災と原発事故からの復興に取り組む福島県の水産業を応援しようと、魚食の活性化を目的とした「SAKANA&JAPAN PROJECT」の一環として発足。復興庁の令和元年度「チーム化による水産加工業等再生モデル事業」に採択された。
プロジェクトの目玉であるさんまのポーポー焼き小籠包が食べられるのは、東京・赤坂の「東北酒場 トレジオンポート」。同・日比谷公園で14~17日に開かれる第5回「ジャパン フィッシャーマンズ フェスティバル2019~全国魚市場&魚河岸まつり~」にも出店し提供する。
さんまのポーポー焼きは、サンマのすり身にみそや薬味を混ぜて丸めて焼いた同県いわき市の小名浜が発祥とされる漁師飯。漁師が船上で作る際に、サンマの脂が炭火に落ちてポーポーと音を立てたことから名付けられた。
小籠包は、いわき市の中華料理店「華正樓」の料理人、吉野康平さんがレシピを考案し、同市の水産加工会社「上野台豊商店」が製品化した。ポーポー焼きの材料をモチモチの皮で包み込み、ほおばるとスープとともにサンマのうま味が口いっぱいに広がる。
トレジオンポートでは、身がプリプリのホッキ貝を使った「ほっきグラタン」や、貝殻にウニを山盛りにして蒸し焼きにした、いわきの郷土料理の「うに貝焼き」も提供する。
「日常の中に東北を」というのが、トレジオンのキャッチフレーズ。被災地でのボランティア活動や復興支援事業に携わってきた吉田社長は、「ビジネスとしてしっかりと利益を上げ、地域に還元することが本当の復興につながる」と考え、平成25年11月に東京・赤坂で「東北バル トレジオン」を開業した。
メニューは福島・相馬のタラのフィッシュ&チップスや岩手の短角牛のカルパッチョなど、スタッフが「本当においしい」と納得したものしか提供しないという。
「食べてもらえれば、常磐もののおいしさに納得するはず」。吉田社長は自信満々だ。
【取材協力】
東北酒場 トレジオンポート
https://tregion-bal.com/tregion-port/
(2019年11月8日)