魚の国 宝の国 SAKANA & JAPAN PROJECT

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2018年9月30日
コラム #005

いわき海星高校マグロ復興の担い手航海実習で育む

福島県いわき市小名浜の人たちが年に3回楽しみにしている“名物”がある。地元の漁業・水産業の担い手を輩出してきた同県立いわき海星高校の生徒たちが、練習船「福島丸」で約2カ月かけてハワイ沖から取ってきたマグロだ。年3回の航海実習で各約20トンを小名浜港に水揚げし、地元スーパーなどに同校のシールが貼られて並ぶ。

「自分たちが取ってきたマグロを地元の人に食べてもらえることがうれしい」

9月13日に生徒約50人を乗せて出港。乗船した同校2年の福山和暉さん、岡田直人さん、吉田楓さんの3人は、こう口をそろえた。ハワイ沖で1回の操業に10時間以上かかる延(はえ)縄(なわ)漁の実習を約1カ月行い、11月中旬に帰港する。

同県唯一の水産・海洋系高校である同校は、震災の津波で校舎などが大きな被害を受けた。3年半後の平成26年9月に復旧工事が完了。校舎が使用できなかった間、「海に浮かぶ教室」として使用していた先代の第5代目福島丸は、昨年1月に第6代目が完成し刷新された。

斎藤道雄教頭は「多くの人に応援してもらい、ここまで頑張ってこられた。恩返しの意味も込めて次代の復興の担い手を送り出していきたい」と話す。

地元の漁業・水産業は復興半ばの厳しい状況にあるが、来春卒業予定の約130人のうち10人程度が漁業関係に進むことが内定。他の生徒も大半が県内で就職する。

機関士への道を目指している福山さんは「自分たちは何の問題もなく地元の魚を食べているのに・・・」と、根強い風評に不満を隠さない。3人はそろって「復興に貢献したい」と言い切った。

「子供たちが自分のふるさとを誇れるようにすることが私たち大人の使命」。斎藤教頭は航海実習で大きく成長することを願い、生徒たちを送り出した。

(2018年9月30日)

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